STAFF
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教授室から
岡山大学病院/岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科(第二内科)教授
前田 嘉信
2017年7月より血液・腫瘍・呼吸器内科(旧第二内科)の第8代教授を拝命しました前田嘉信です。就任にあたり3つの基本的な理念を以下にご紹介したいと思います。
患者さんのために
血液・腫瘍・呼吸器内科は、病態の変化が早く致死的な疾患を扱います。患者さんに寄り添い、全力を尽くす、それでも時に患者さんは、不幸な転機をとります。遺族は想像を絶する悲しみの中、ありがとうございました、と深々と頭を下げられ、我々も涙する。また、別の患者さんは致死的な病を克服し、元の生活ができる幸せと感動を患者さんと分かち合う。
何とかこの患者を救いたいという想いが、一生懸命に物事にあたるという習慣になりそしてその人の人格になっていきます。緊張感ある医療の現場は「患者さんに寄り添い、全力を尽くす」という第二内科の伝統を生み、遺伝子として受け継がれています。第二内科の諸先輩は、今は総合内科診療をしても、基礎研究に道に進んでも、一生懸命に物事にあたるという遺伝子が発揮され、大変活躍されている先生ばかりです。私は、若い先生には現場から逃げずに物事にぶつかり、実践を通して真の叡智を身に着けもらいたいと考えています。
医学のために
患者に寄り添う我々だからこそ臨床上の課題を見出し追求していく責任があり、またそのチャンスに恵まれています。「優れた臨床医は研究者である」といわれていますが、医学を科学的に観察、分析し、考察できる医師「Physician scientist」を育てたいと思います。医学研究を常にリードしてきた血液学、腫瘍学、免疫学を中心に我々は研究を行っていますが、できるだけ多くの医師に基礎研究の機会を提供し、未知なる世界をみる喜びを知ってもらいたい。また、最近、日本から海外へ留学する若手医師が減少していますが、きっかけが少ないに過ぎず、若者は常に未知なるものへの探究心があります。私は彼らの背中を押し、グローバルに活躍できるPhysician scientistを育てていきたいと考えています。そして、自らの手で医学を一歩前に進めていけるようにします。
社会のために
医師は眼前の患者に集中するあまり視野が狭くなりがちですが、医師も社会の中で生き深い相互依存の関係にあります。己のためではなく他人のために何ができるか。パートーナーを愛する、隣人を笑顔にする、後進を指導する、様々な方法があります。私一人では、非力ですが、第二内科は現在、約1100名が活躍する西日本で最大級の教室であります。我々一人一人が他人のために何ができるかを考え、実行すれば、大変な影響を社会に及ぼします。実践を通して一本芯の通った第二内科の先生は、病院を、医療を、社会を牽引できるエンジンと考えています。自分たちがもっている力を自覚し発揮していただけるよう応援・支持していきたいと思います。