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医学生・研修医の皆様へ

1、がん死亡急増時代における内科 ~ 地域医療の最前線で活躍したい君に

超高齢化社会は避けて通れない、確実に到来する道です。現在でも2人に1人はがんになり、全死亡の3分の1は「がん死」です。高齢化社会にあってがん患者は必然的に増加し、かつ今日の癌治療の進歩によって生存期間がのびているために担がん状態の患者数は増加の一途です。つまり、がんの患者を避けて内科医は成立しません

急性期病院から在宅医療への橋渡しとして地域に密着した病院の役割はますます大きくなっています。急性期病院で治癒を目指した濃厚な治療が行われた後に、完治を目指さずがんと付き合っていく、あるいは緩和的治療にギアチェンジする患者さんがいます。むしろ、より多くの患者が後者のがんと付き合っていく治療を受けています。内服の治療や副作用の少ない点滴を外来通院の形をとって地元の病院で治療を継続します。地域の小中規模病院や開業して地域医療の最前線で活躍する夢をもつ先生も多いことでしょうが、その際にがんに対するアレルギーがあっては、現場の医療を担えません

がん治療を一時期でもしっかりトレーニングを受けることは長い医師の人生で決して遠回りではなく、むしろ懐の深い内科医には必須の力量と考えます。

 

2、第二内科は“Deep”か?

第二内科の扱う疾患、病態は人の死に直結することが多いためか、第二内科を“Deep”だと評する場合があります。しんどいとnegativeに取るか、おくが深いとpositiveに取るかは人それぞれですが、内科医が人の死と取り組むのは当然です。これを避けたい人は別の科を選ぶべきでしょう。第二内科に受けつがれるDNAのひとつは、人の死と真正面に取り組むことにあります。しんどいこともありますがやりがいがあり、患者・家族とも、同僚とも強い絆が生まれます。真正面に取り組むからこそ生まれる喜びや悲しみがあります。

また、“Deep”を“narrow”と連想する人がいます。我々の扱う世界は、視野は、狭くなくむしろ広い。高度に専門化した現代医療であっても、どれほど大きな病院に勤めていても、患者は複数の疾病を合併します。患者が自分の専門の病気にしかならないことはあり得ません。狭心症、糖尿病、慢性肝炎、白内障、腰椎圧迫骨折、肺癌、これらを同時に合併することがあります。我々は、受け持った患者に対し「主治医は我々はである」と、何の疑問もなく自然に考えます。主治医である我々は、並存疾患全てに責任を持つ必要があり各科と連携をとります。心臓カテーテル検査の必要があれば我々はできませんので、依頼しないといけません。しかし、循環器内科の介入後は再び我々が主治医として全身を診ます。また、抗癌剤治療は多種多彩な合併症を起こします。免疫不全状態ではありとあらゆる感染症を引きおこし、感染コントロールはどの分野にもまして重要です。肝臓や腎臓機能障害への対応だけでなく、副作用が少ない分子標的薬でも皮膚や膠原病に関する知識が必要となります。つまり、がんを診ることは総合的な内科の知識や経験が不可欠であり、また、自然と身につく領域です。第二内科学は深く、広い世界です。

 

人の死と真正面に取り組むことにより総合的な内科の知識や経験がつく
【図1 人の死と真正面に取り組むことにより総合的な内科の知識や経験がつく】

 

3.血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科は“ナンバー内科”

第二内科は、大学病院内で血液・腫瘍・呼吸器・アレルギーを中心とした専門分野を扱いますが、ナンバー内科として以前は大学病院でも消化器、内分泌・糖尿・代謝、神経を専門する先生がおり、臨床・教育・研究を行っていました。当然、関連病院では血液・腫瘍・呼吸器・アレルギーを専門とする先生に加え、それ以外の分野(循環器、腎臓を含む消化器、内分泌・糖尿・代謝、神経)を専門とする先生がたくさんおられます。むしろ後者の方が多く大学や関連病院で血液・呼吸器を専門とする先生は図2のように実は、少数派なのです。大学病院における第二内科のイメージと異なり、現実は広く内科全般を担当する科なのです。現在、消化器を専門としている先生も根っこは第二内科のDNAを受けついでいます。第二内科の門をくぐり、人の死と真正面に取り組むことを医師の一分とした先生方が、今は血液・呼吸器を専門としなくとも、まったく死と直結しない職場であっても、それぞれの分野の第一線で活躍しています。循環器内科、消化器内科、腎臓内科、それぞれの分野でパイオニアとして活躍された先生も多く、その流れはいまも県内外の多くの基幹病院に引き継がれています(図3)。また、開業され地域医療や僻地医療の最前線で活躍されている先生がたくさんおられます。第二内科の真の姿は、むしろ血液・呼吸器を専門としていない先生にあると言っても過言ではないでしょう。

 

第二内科出身の現在の勤務状況
【図2 第二内科出身の現在の勤務状況】
第二内科出身で、大学を含めた関連病院で呼吸器あるいは血液を専門として勤務している先生はそれぞれ16%、7%と少数派

 

市内病院における第二内科出身の先生
【図3 市内病院における第二内科出身の先生】

 

4、第二内科が牽引する臨床と研究 ~ 若者よ、世界に羽ばたけ!

臨床における活躍は各グループの項を参照いただきたいですが、例えば呼吸器・アレルギー分野における活躍をあげると、呼吸器学会 中四国9県の評議員 45名中17名、日本臨床腫瘍学会 中四国9県の癌薬物専門医 117名中45名、アレルギー学会 中四国9県の評議員 26名中15名が第二内科の同門であり、“エンジン”として中四国を牽引しています。緩和医療においても中四国で緩和医療学会専門医の半数が第二内科の出身で占められており、急性期から最期まで「人の死と真正面に取り組む」第二内科のDNAがいかんなく発揮されていることがおわかりでしょう。新しいエビデンスを生むため多数の全国的な共同研究を主導し世界的な業績を出し続けています。血液・腫瘍分野においても第二内科グループは日本最大の血液研究グループJALSGをはじめ、西日本血液腫瘍グループ(West-JHOG)、悪性リンパ腫治療研究会(SoLT-J)の中心的メンバーとして日本の血液診療を牽引しています。同種造血幹細胞移植も全国の国公立大学で最多の移植件数を施行するリーディング大学です。

学術研究においてもインパクトファクター10点以上の論文がほぼ毎年発表されています。臨床の教室でありながら学術論文を出し続けられる要因として積極的な海外留学を支援していることが挙げられます。表1にように第二内科は10年連続で海外に多くの留学生を送り出しています。第二内科で研究し、興味が持てれば海外留学、そして帰国してさらに研究を進める好循環サイクルが構築されています。最近、若者の内向き志向が報道されていますが、当科ではそれを信じていません。きっかけがないに過ぎず、若者は常に未知なるものへの探究心があり、我々は背中を押す体制と準備が整っています(図4)

 

岡山大学からの海外留学者数の推移
【表1 岡山大学からの海外留学者数の推移】

 

第二内科からの留学先一覧
【図4 第二内科からの留学先一覧】